充填物(バルク)を大きくわけると、液体・粉体・粘体となります。
分野では、化粧品・医薬品・食品・文具・補修剤などに分かれます。
液体の化粧品は、リキッドファンデーション、化粧下地、マスカラ、リップグロス、マニキュア、アイライナー、化粧水、乳液、美容液、クレンジング、日焼け止めなどになります。
粉体の化粧品は、ファンデーション、フェイスパウダー、チーク、アイシャドウなどです。
粘体の化粧品は、口紅、保湿クリーム、美容液などです。
ほとんどの物が機械による充填が可能になっています。
現在、充填作業を別の会社に委託されていたり、自社で手作業で充填されていて、充填機の導入を検討されている会社さまも多いでしょう。
自社で充填機を導入されると、こんな利点があります。
他社に充填を委託されている場合、繁忙期のラインの確保が大きな課題としてあります。日頃から定期的に仕事を委託し、信頼関係を築いていれば良いのですが、繁忙期のスポット依頼のみが多い場合はやはり融通がききにくくなってしまうケースが多いでしょう。自社で充填できれば生産体制は柔軟に構築することができるようになります。
また、化粧品などでは多品種小ロットの対応が必須。頻繁にある製品改良のための仕様変更への対応も必要です。最近では、99種類のメモリ登録ができる機械が開発され、多種類の容器形状へ対応可能で、パーツを変更することで液体・粉体・粘体全てに対応できるようにもなってきています。
何より生産ラインの調整が自社でできるということは非常な利点になります。
自社で充填作業が可能になるため、外注先・委託先への支払いがなくなります。また、バルクの移送料も削減できます。
委託されている工場を実際にご覧になっているご担当者さまはどれくらいいらっしゃるでしょうか。
自社で充填すれば、充填の工程を可視化することができます。
トレーサビリティの導入により、製品の安全性に関わる事故への対応や、表示など情報の信頼性の向上、業務の効率性の向上に役立ちます。
事故発生時の原因究明に役立つ、迅速な撤去・回収が可能になる、リスク管理の手法の発展、事業者の責任の明確化に加え、積極的な情報提供も可能になります。表示の正しさの検証もでき、経路の透明性が確保されます。また、在庫・品質管理の効率化、費用の削減や品質向上にもつながります。
人件費の削減、省スペースになることにより地代等の削減、機械化によるバルクのロス分低減、また、オペレーション工程数の削減による人的資源の活用により結果的にコスト削減となる場合もあります。
充填量の精度が上がり、スピードもUPします。その結果、稼働率もUPします。
手作業で一番差が出るのは、作業者によりバラツキが大きいことによります。作業者の熟練度によりスピード、不注意やミスによる不良品数が変わります。また、熟練していない作業者では汚れがつきその拭き取りや、空気が混入したことによるエア抜きなど、余分な作業が増えてしまうこともあります。
固形物を壊さないように手作業でプレスするのも簡単ではありません。
機械であれば、バラツキがなく、繊細な作業も可能になり品質が向上します。
また、作業者に付着したチリやほこりもNGという製品でも、機械なら問題なく生産することができます。
機械化することにより現場で最も恩恵を感じられるのが、この自動化ではないでしょうか。
充填・計量・調合作業をコンピュータ管理でき、重い充填物を持ち上げる必要が無くなったり、目視で慎重に測る手間が減ります。作業者によるバラツキも無くなります。不注意や人為的ミスによる不良品の低減も見込まれます。
また、成型条件等を数値化できるようになり、客観的な検品もできるようになります。
最近は機械も自動清掃できるものがありますので、面倒なメンテナンスが不要になってきています。
機械もタッチパネルで簡単に操作できますので、作業は楽で簡単に、誰でもできるようになります。熟練作業者の不足を補うことができ、新人の教育等が不要になります。また、重労働や危険な作業が減るため、女性にも活躍しやすい環境となります。手作業ではどうしても出てしまっていた、汚れの拭き取りや混入エア抜きなどの無駄な作業も減ります。少人数で作業することが可能になりますので、人材を別の業務へと振り替えることもできます。
作業スペースが集約され、省スペースになるのも、工場内の整理・整頓のためには嬉しい効果です。極端な例では、今まで借りていた地代が不要になるということも考えられるでしょう。
ほとんどがわかりやすいボタンやタッチパネル式になっており、機械が苦手な方でも簡単に操作できるようになっています。例えば昨日入ったパートさんでも、説明書不要で直感的に操作することが可能です。
充填量を設定すると運転ボタンを押すだけで定量が入れば自動的に止まり、繰り返し充填ができます。もちろん一回一回ボタンを押して手動運転もできます。
充填量の変更は切り替えボタンを押すだけでアイテム替えをする度の設定が不要です。99種類のメモリ登録が可能な製品もあります。
さて、充填機を入れる利点はたくさんありますが、果たしてそれが費用対効果があるのかどうか、一番気になるところです。
新規で購入した場合、機械にもよりますが¥650,000〜¥2,500,000くらいするようです。中古で購入する場合は¥35,000〜¥650,000など、こちらはピンキリです。
また、維持費として電気代、修理費、定期メンテナンス費、オーバーホール費、清掃費(電気代・水道代)、オペレーションをする人件費などがかかります。
機械の種類や数、工場環境にもよりますので、維持費については入念なシミュレーションが必要です。
機械を自社で所有することが難しい場合や、まずは試してみたいという場合は、レンタルという手もあります。
スポット対応で1ヶ月レンタルの場合¥90,000からなど、レンタル費用は設備標準代金×日数で決まっていたり、メーカーによって様々な設定があります。3週間以上になると長期割引があるところもあります。
かかる費用はレンタル費用の他、諸経費(配送費、設置費、指導料、取り外し費、返却費、各環境下で動作するための部材装着費)やオプション費(ユニット追加、部品加工)がかかる場合もあります。消費税もかかります。
また、レンタル費用は経費計上可能となるケースがありますのでご確認ください。
ただし、レンタル可能な地域、不可能な地域がありますので注意が必要です。
忘れてはいけないのが、充填には製品により資格が必要になることです。
化粧品の充填には「化粧品製造販売業許可」が必要です。その他、充填する内容によって「危険物取扱者」や「医薬品販売業」などの資格が必要になります。
例えば「化粧品製造販売業許可」については、まず製造しようとしている商品が化粧品を規制している法律「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で化粧品に該当するかを確認します。
「せたがや行政法務事務所」によると、
薬事法では、「化粧品」を次のように定めています。
『人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう』
これによると、基礎化粧品やメイクアップ化粧品はもちろん、シャンプー、リンス、コンディショナー、石鹸、香水なども化粧品に含まれます。
なお「薬用化粧品」といわれるものは薬事法上は「医薬部外品」となり、「医薬部外品製造販売業許可」や「製造業許可」、「医薬部外品製造販売承認」などが必要になります。
「化粧品製造販売業許可」は「事業者」が取得します。総括製造販売責任者、品質保証責任者、安全管理責任者を常勤で配置することが必要です。(1名で兼務可能)その他詳しい商品の定義や資格取得・申請の方法については、下記サイトなどをご参考にされてください。
充填機の導入は非常に魅力的ですが、自社で全てを管理していく手間を考えると、その点やはり委託やOEMは全てを任せられ、管理が楽です。
以下に、充填機導入と受託の比較をまとめました。
下記の図は横にスクロールして
全体を見ることができます。
充填機導入 | 充填受託・OEM | |||
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メリット | デメリット | メリット | デメリット | |
コスト | ・委託費用が減る |
・機械購入費、ランニングコストがかかる ・機械のメンテナンス費がかかる ・人件費、管理費がかかる ・委託先が負担していた場合、移送費がかかる |
・機械購入費、ランニングコストが不要 ・機械のメンテナンス費が不要 ・人件費、管理費が不要 ・移送費等を委託先が負担することで、グロスでのコスト削減になる場合も ・試作品無料の場合が多い |
・委託費用がかかる |
利便性 |
・自社でラインコントロールが可能、柔軟な生産体制になる ・手作業よりも生産能力が向上する ・手作業よりも品質が向上する ・手作業よりも作業が平易化する |
・ラインコントロールが必要(社内だからこそ柔軟な生産体制ができないことも) ・注文が少ない時期にはラインがストップする恐れがある |
・楽 ・スポットで必要な時だけ委託することが可能 ・資材、原料仕入〜納品までを委託先に任せることができる ・新製品、新パッケージなどの提案やコンサルティングをしてくれる |
・必要な時期を見極めて早い段階でラインをおさえる必要がある ・繁忙期にはスポットでラインの確保が難しいことも ・定期契約しているライバル会社にラインをおさえられてしまう |
検品 | ・検品体制の透明化 |
・自社での検品体制が必要 ・検品のみ委託する場合はその委託料がかかる |
・委託先が検品もしてくれる | ・検品体制がブラックボックス化されている場合も |
物流 | ・すばやいトレースが可能 | ・自社で手配が必要 |
・受託先が物流コントロールも兼ねている場合が多く、仕入〜納品までやってくれて楽(資格を保持しているか要確認) ・他社の商品との配送をまとめることで物流のコストメリットがある |
・配送状況等の確認に少し時間がかかることも |
機械について |
・操作が簡単で誰にでも使える機械が増えている ・ボタン一つで様々な充填物・充填量に対応可能な機械もある |
・対応できる充填物が限られる可能性がある ・仕様変更、製品改良の度に機械の調整が必要 ・定期メンテナンスが必要 |
・機械のメンテナンス不要 ・充填物に最適な委託先に依頼することができる |
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スペース | ・手作業から機械化の場合は省スペースになる | ・機械を設置して作業するスペースが必要、充填物や資材等の保管場所も必要になる | ・スペースが不要(機械だけでなく充填物や資材等も) | |
資格 |
・化粧品などの充填の場合は自社で「化粧品製造販売業許可」の取得が必要 ・危険物や医薬品などについても自社で資格取得する必要がある |
・「化粧品製造販売許可」等資格を取得している業者には安心して仕事を任せることができる | ||
その他 | ・生産工程の可視化、トレーサビリティの確保 | ・製造工程がブラックボックスになっているケースがある(資格取得をしている工場ではトレーサビリティがしっかりしている) |
充填機を導入する、委託される、どちらにしてもメリット・デメリットがあります。
御社にとって最も実現したいことは何でしょうか。
自社で充填機を導入すると、柔軟な生産体制ができるという反面、ラインコントロールや新製品への細かな対応が逆に大変になるというケースも多々あるようです。
充填に特化した委託先にお任せいただくと、仕入から納品までに加え資材・原材料の手配等、物流全てを任せることも、充填物に最適な充填方法を提案により総コスト削減となることもあります。
ぜひ、お悩みのことがありましたら充填のプロ、エスケイにお気軽にお問い合わせください。
お客様のご要望に合わせて柔軟に対応いたします。
充填・セットアップ・容器・小ロット・納期など
製品づくりのお悩みについて、どうぞお気軽にご相談ください。
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